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上智大生殺人放火事件は9月9日に未解決のまま、27年になります。時効は撤廃され、捜査は今も続けられていますが、その背景には殺害された小林順子さん(当時21)の父・賢二さんの闘いがありました。警視庁は事件解決につながる情報の提供を求めていて、有力な情報には最大800万円の懸賞金が支払われます。
◇情報提供
警視庁亀有警察署 柴又三丁目女子大生殺人放火事件特別捜査本部
電話:03-3607-0110(代表)
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賢二さんに寄り添い、ともに歩んだ日本テレビの森田陽子記者に当時の話をききます。
■未解決 1996年に起きた上智大生殺人放火事件
1996年9月9日、東京・葛飾区の自宅で上智大学4年の小林順子さんが、首を刃物で刺されて殺害され、自宅を放火されました。
現場では、身長150センチから160センチくらいのコート姿の男が目撃されましたが、放火で痕跡の多くが燃えてしまったことなどから、捜査は難航しました。
事件は現在に至るまで解決していません。
■順子さんの遺族と出会った記者 アメリカ留学を控え「なんでこんな事件が起きたんだろう」
日本テレビ報道局社会部の森田陽子記者は、2004年、警視庁記者クラブに配属され、捜査1課を担当することになり、順子さんの事件の資料を見つけました。
2日後にアメリカ留学を控え、夢に向かって生きていた大学生の順子さんはなぜ事件に巻き込まれてしまったのか。順子さんと年が近かった森田記者は、この事件に興味を持ち、順子さんの両親の取材をすることにしました。
2006年には、事件から10年の心境を取材し、放送。留学に向け、順子さんが母・幸子さんと準備していた荷物を見せてもらいました。
森田記者
「アメリカに送った荷物とか『これ準備するときこんな会話したんだよ』というのをお母さんがしゃべっていて、当時すごく楽しかっただろうなと思って。そんなときに何でこんな事件が起きたんだろう、悔しいだろうなというのはすごく想像できる」
■「事件から何年」のカウントが「時効まで何年」のカウントダウンに…記者が抱いた疑問
事件の風化を防ぎ、なるべく早く事件が解決するようにとこまめに連絡を取り合い取材を続けた森田記者。しかし、犯人が捕まらないまま月日が流れ、ある違和感を抱くようになりました。
森田記者
「最初は、事件から何年で、犯人が捕まらなくて、『どうしてだ』みたいなのがすごく強くて。『この事件を風化させてはならない』という気持ち。私ももちろんそういうふうに取材したんですけど、途中から『時効まであと何年』みたいなカウントダウンになってきて」
森田記者が感じたのは、時効が迫り、あと数年で犯人が捕まらなくなってしまうという遺族の焦りでした。
順子さんが殺害された1996年当時、殺人事件の時効は15年でした。2005年に法改正があり、時効は25年まで延長されましたが、改正前に起こった事件は対象ではありませんでした。
森田記者
「話を聞いていて、初めて時効って何だろうとすごく思った」
■遺族の小さな声を、報道で大きな声に…遺族と歩んだ時効撤廃への道
2009年、森田記者が時効の必要性について考える放送をしたいと順子さんの父・賢二さんに伝えると、返ってきたのは驚きの返事でした。「殺人事件の時効をどうしてもなくしたい」と、全国の遺族とともに「遺族の会」を立ち上げる準備をしているというのです。
2月28日。賢二さんたちは殺人事件被害者遺族の会「宙(そら)の会」を設立。
森田記者
「全国の事件のご遺族が集まっているので、それぞれの事件が起きた日にはみんなで現場に行ったりとかして、ビラを配ったりとか」
「宙の会」の訴えに賛同し集まった署名は4万5000通にのぼりました。賢二さんらは殺人事件の時効廃止や未解決事件の時効停止などを求める嘆願書とともに、署名を法務省に提出。
そして2010年4月27日、衆議院本会議で殺人事件の時効撤廃を盛り込んだ改正法が可決されたのです。
森田記者
「ご遺族の皆さんが声を上げて、それが本当に世の中に響いて、声が届いた形で法律が変わったと思っている。遺族のみんなの声を少しでも社会に届ける中で、私たちが報道を続けたことで、小さい声が大きくなった。もしかしたら私たちが少し力になれたのかもしれないなっていうのをすごく感じた」
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