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20万人以上が犠牲となった沖縄戦の終結から78年。その沖縄で今、軍事的な備えへの是非を巡り、深い断絶が進んでいます。
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4月、沖縄・石垣島。この日行われたのは、石垣島に初めて設置された陸上自衛隊駐屯地の開設式典です。
浜田防衛相「先島諸島は我が国、防衛の最前線に位置します」
台湾有事などに備えるため、ここ数年自衛隊の配備が進められてきた沖縄の南西諸島。石垣駐屯地には警備隊の他、敵の戦闘機や艦船などに対抗するミサイル部隊が置かれました。
しかし、駐屯地開設を受け、開かれた住民説明会では。
島民「国民の生命を守るということが大きな目的であって、その機能を強化してもらいたい」
抑止力として自衛隊に期待する声がある一方。
島民「小さな島ですよ。どこにも逃げようがないんですよ」
軍事施設があることで攻撃の対象になるという不安、さらに。
島民「相手の基地まで飛ぶような長距離ミサイル。自衛隊に賛成の人でも反対の人でも、このことについては容認できない」
敵の攻撃への反撃能力として政府が検討する長距離ミサイル。「配備先は未定」とされていますが、「石垣島に配備されるのでは」と懸念の声が上がっているのです。
こうした基地への思いを島の民謡で訴える女性がいます。山里節子さん(85)。背景には沖縄戦の体験があるといいます。
案内してくれたのは戦時中にこもっていたという山。
山里さん「(Q:この地はどんな場所?)本当は来たくない場所、見たくもない場所。昔ここで失った…」
石垣島は当時、沖縄本島のような地上戦にはならなかったものの、旧日本軍の飛行場があったことで空襲などを受けました。
そのため、軍が命令して高熱などに襲われるマラリアの発生地だった山奥へ強制疎開させ、3600人余りが命を落としたのです。
山里さんの祖父と母もマラリアにかかり、亡くなりました。
山里さん「(日本の)軍隊が(石垣島に)来なければ避けられていたかもしれない。3600人の人たち、犠牲にならずにすんだかもしれない」
山里さんの目には、自衛隊の配備と、かつて日本軍の駐留で島が戦場となった経緯が、重なって写るといいます。
山里さんの歌「あしみつなり ずーぬかざかかびるとん いくさとぅどぅみそ ゆくいやならぬ(大意:杖をつき腰が曲がり地面をなめるようになっても、戦争を食い止めるための手を休めてはいけない)」
山里さん「今まで軍事とか基地とかかわりなく穏やかに過ごしてきた島の生活を根底から覆されてしまう」
戦争体験者が危機感を強める中、防衛力の強化が進んでいます。
(2023年6月24日放送)
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