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産卵のため、ふるさとの川に帰るサケ。体には厳しい自然の中でできた、傷の数々。海に出たサケは、4年ほどで育った川の匂いをたどり、戻ってくると言われている。
福島県・楢葉町の中央を流れる「木戸川」。かつては、日本有数のサケの産地として、16万匹以上もの捕獲数を記録。“木戸川のサケ”は、町の人たちの誇りでもあった。しかし、東日本大震災や台風などの影響で、その数は激減。そんな中“木戸川のサケ”をもう一度増やそうと、奮闘する男性の挑戦に密着した。
木戸川漁協の鈴木謙太郎(すずき・けんたろう)さんは、子どもの頃から釣り好きだった。最も魅力を感じてきた魚が、サケ。必ずふるさとの川に帰ってくる習性に魅力を感じるという。サケに深く関わりたいと、木戸川漁協に就職。現在は、その魅力を多くの人に知ってもらうための活動を続けると同時に、サケのおなかから卵を取り出し、人の手で受精させる「人工授精」を行った受精卵を卵からかえす「ふ化作業」も行っている。ふ化作業によって生まれた稚魚たちは翌年3月、木戸川に放流する。
だが今、木戸川のサケの数は激減。昨年度、木戸川で捕獲できたサケは、わずか423匹。ピーク時の16万匹に比べ、400分の1という深刻な事態。サケが獲れず、卵が少ないということは、川に放流する稚魚の数も少なくなるということ。このままでは「木戸川にサケを増やす」という願いはかなわない…。“木戸川のサケ”を増やすため、鈴木さんはある決断に踏み切った。
(2023年4月12日放送「news every.」より)
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