【解説】陸自ヘリ“消息不明” 原因は機体の不具合?鳥などと衝突の可能性も?『知りたいッ!』
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日テレNEWS2023-04-07 21:20:021621350485

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6日に沖縄県の宮古島沖で陸上自衛隊のヘリコプターが消息を絶った事故から、丸1日がたちました。沖合の捜索で機体の一部などが見つかっていますが、搭乗していた10人の行方につながるものはまだ見つかっていません。

◇師団トップも搭乗
◇点検では“問題なし”
◇考えられる原因

以上の3点について詳しくお伝えします。

■機体のものらしき物体を新たに発見…人命救助最優先で捜索

まずは捜索の最新の状況からです。7日の午前9時すぎ、宮古島市の池間島の海岸からは、沖合で捜索にあたる海上保安庁の巡視船がみえていました。現場の海域では海上保安庁の巡視船に加えて、海上自衛隊の艦艇と航空自衛隊の航空機が懸命の捜索を行っていました。

この捜索では、7日未明から早朝にかけて「陸上自衛隊」と書かれたドアや回転翼とみられる機体の一部が新たに見つかったということです。

海上保安庁は赤外線カメラなども使って、人命救助最優先で捜索にあたっているということです。

■宮古島周辺でレーダーから消える…自動発信の「救難信号」も受信せず

一体何があったのか、7日午後4時時点での情報を整理したいと思います。

陸上自衛隊によると、このヘリコプターは6日午後3時46分に沖縄県宮古島の宮古島分屯基地から飛行を開始して、約10分後の午後3時56分ごろ、宮古島周辺を飛行中に機影がレーダーから消え、消息を絶ちました。

また、ヘリコプターがレーダーから消える約2分前に宮古島に隣接する下地島の空港の管制と無線で交信していたことも明らかになりました。ただ、その内容については分かっていません。

一方で、陸上自衛隊の発表では、機体が強い衝撃を受けた時や海水につかってしまった時に機体から自動で発信される「救難信号」を、周辺の管制などが受信していなかったことも明らかにしました。

陸上自衛隊や海保などによる捜索は下地島の北東辺りで行われていますが、これまでの捜索で発見されたものがいくつかあります。開かれていない状態で発見された救命ボートは、表面に記載されている製造番号が当該機体のものと一致したということです。それから7日未明から早朝に発見されたものですが、機体の一部とみられるものからは、「陸上自衛隊」「非常口」という文字が読むことができました。また、発見された長い板状のものは、折れた回転翼とみられます。

専門家によると、これらの損傷具合から、着水時にある程度の衝撃があったとみられるということです。水とは言っても着水時の速度、それと回転翼が動いていたとしたら、相当な衝撃が加わったと推測されます。

■第8師団のトップである「陸将」が搭乗…3月末に着任したばかり

当時、このヘリコプターは空から地上の様子を確認する航空偵察中だったということで、公開された飛行計画によると、宮古島分屯基地を離陸して反時計回りに下地島などの上空を回って1時間20分ほどで戻ってくる予定でした。

このヘリコプターには九州南部の防衛警備、それから災害派遣任務を担当する第8師団のトップ、陸将である坂本雄一師団長をはじめ、パイロット2人、整備員2人を含む10人が乗っていたということです。

坂本師団長は3月末に着任したばかりでした。今は特に日本の南西方面は、かつてに比べて安全保障上の緊張が高まっています。そのことを受けて、宮古島や石垣島などに近年、相次いで陸上自衛隊の駐屯地が新たにできました。師団長としては、まずは着任したら現場を自分の目で確認したい気持ちはあって当然、自然なことだと思います。

このヘリコプターには宮古島駐屯地のトップ(=駐屯地司令)も乗っていて、おそらくその人が坂本師団長に島の周辺の様子を説明する役目だったと推測されます。

■専門家 当該機は「とても安定している機体」

一方、当該機はどんな機体なのか…。陸上自衛隊の多用途ヘリコプター「UH60JA」といいますが、陸上自衛隊でヘリコプターのパイロットから東部方面総監などを務めて、ヘリコプターの運用に詳しい磯部晃一さんによると、「とても安定している機体だ」といいます。「陸海空の各自衛隊でも使っていますし、救難ヘリにも使われているため、信頼度は非常に高い」と説明しています。
6日の会見で陸上自衛隊・森下泰臣陸上幕僚長は、「発見された機材らしきものの状況から総合的に判断し、航空事故と概定した」と述べています。つまり、「状況から見て事故だろう」ということです。

では、天気はどうだったのか、事故当時の天候も実は安定していたということです。そうなると事故の原因は何なのかと、ますます気になります。

陸上自衛隊が7日に明らかにした情報によると、このヘリコプターは飛行時間が50時間ごとに行う「特別点検」というものを、先月20日から28日まで行っていました。そのうえで、実際にフライトして点検する「確認飛行」というものも行ったといいます。

さらにその後、今回の任務のためヘリコプターが所属する熊本県の高遊原分屯地から宮古島分屯基地まで、約4時間フライトしたそうですが、いずれの飛行でも「問題なかった」とみられています。

■航空事故の原因は? 一般的に考えられるのは3つ

天候も悪くなく、確認飛行も問題なかったとすれば、なおさら“なぜ…”という思いが募りますが、磯部さんによると、「航空事故の原因は一般的に3つに類型が分かれる」といいます。1つは「人為的なミス」、それから「機体の不具合」、そして「鳥などとの衝突」が考えられるということです。
磯部さんによると、このヘリコプターはエンジンが2つあるということで、もし何らかの理由で1つが止まっても飛行は可能だそうです。その前提で、もっとひどいエンジントラブル、緊急事態が起きた場合の対処としては、ヘリコプターは「オートローテーション(=自由降下)」という、柔らかに自由降下しながら不時着水するという手続きが決まっているといいます。その後、回転翼が止まると着水した機体がどちらかに傾くので、水につかってない反対側のドアから脱出をする。脱出する際には、「救命胴衣」を膨らませて脱出して救助を待つということです。

実は、陸上自衛隊では、海の上を飛ぶ場合には救命胴衣を搭乗前につけるということで、「今回のコースも海上が含まれているのでおそらくつけていただろう」ということです。他方、「救命ボートは畳まれたままだったので、広げる猶予もなかったのではないか」と磯部さんは話していました。

   ◇

まずは、搭乗していた10人が早く発見されること、そのうえで原因の究明が急がれます。
(2023年4月7日放送「news every.」より)

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