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辞職の意向を突然示した、静岡県の川勝平太知事(75)。きっかけは1日にあった新入職員向けの訓示でしたが、これまで何度も失言で批判されてきました。現在4期目で、問題はここ数年で起きています。問題発言を繰り返す背景に何があるのでしょうか。
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https://news.ntv.co.jp/category/politics/f356d366d1684e188e54e9d658dcec25
そこで今回の#みんなのギモンでは、「静岡県知事 なぜ失言を繰り返す?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。
●突然の辞意を表明 どんな文脈で?
●失言の背景に…リニアはどうなる?
■職業差別ともとれる発言で批判殺到
小野高弘・日本テレビ解説委員
「川勝平太知事が2日、突然辞意を表明して驚きました。1日に県庁で行われた新人職員への訓示で、『野菜を売ったり、牛の世話をしたり、ものを作ったりということと違い、皆様は頭脳・知性の高い人たち』と言いました」
「酪農家や、野菜を販売する人が聞いたらどう思うでしょう。職業差別ともとれる発言のため、批判が殺到しました。そうした中で辞職の意向を表明しました」
鈴江奈々アナウンサー
「発言の内容にも本当にびっくりしましたし、突然に辞意を表明したことにも本当にびっくりしました。ただ、その場で説明がなかったので、まだモヤモヤしている気持ちが続いていますね」
■「人々の心を傷つけるものがあった」
小野解説委員
「ということもあってでしょうか。3日午後に会見が行われました」
川勝知事
「採用した職員への激励、励ましの言葉の中に、人々の心を傷つけるものがあったということを厳しく受け止めております」
「特に第一次産業、農業、酪農、水産業、これは最も大事にしてきた産業でありまして、そういう方たちの心を傷つけたとすれば、誠に申し訳なく、心からお詫びをいたします。申し訳ありませんでした」
■「知事らしいエール」の後に問題発言
小野解説委員
「このように謝罪しました。知事は1日の訓示で、新入職員の顔を見ながら話したいということで、原稿などを用意することもなく、20分にわたって話しました」
「『威張る人がいたらこういう上司にはならないと、反面教師にして』『富士山を鑑(かがみ)として恥ずかしいことをしない』とも言っています」
桐谷美玲キャスター
「ここまでは県知事らしいエールだなと思いました」
小野解説委員
「ところが、その後に問題の発言が出ました」
川勝知事
「県庁っていうのは別の言葉で言うとシンクタンク(=“頭脳集団”)です。毎日野菜を売ったり、牛の世話をしたり、ものを作ったりとかということと違って、基本的にみなさま方は頭脳・知性の高い方たちです。ですからそれを磨く必要がありますね」
山崎誠アナウンサー
「話し方を見ても淀みないですし、一連でこのように話したあたり、しっかり考えて準備した上でこう表現したのかなという印象は受けますよね」
■記者も混乱…釈明会見で突然「辞する」
小野解説委員
「この後は、感性を豊かにしたり身体を鍛えたりすることの大切さを話していました。ただ批判は瞬時に広がり、知事は2日になって釈明の会見を開きました」
川勝知事
「職業差別は皆無です。ありません。何か問題発言があったかのごとき状況になって本当に驚いています」
――受け取る人は間違いなく職業差別だと思います。我々や県民の受け取り方が悪いとおっしゃっているのですか?
川勝知事
「そうではありません。どのような職業に対しても違いはある。職分が違います。しかし職の貴賤はないというのが基本的な考え方でございますので…」
小野解説委員
「あくまで職業差別ではないと答えましたが、この会見の最後になると、川勝知事は『よく考えたんですけれども…。準備もありますからね。6月の議会をもってこの職を辞そうと思っております…以上です!』と辞意を突然表明しました」
「記者も混乱していました。知事はきっと言い訳に終始すると思っていましたが、突然『辞める』と言ったので皆一瞬きょとんとして、『今、辞めるって言ったよね』と目を見合わせました。すると知事はその場を立ち去ろうとしたので、皆慌てたそうです」
■知事歴15年 座右の銘は「常在道場」
小野解説委員
「川勝知事は15年続けてきましたが、辞意表明がこんな形になってしまいました。学者で、2009年に静岡県知事に立候補して初当選。現在4期目です。座右の銘は『常在道場』。どこでも・いつでも・いつまでも学ぶ姿勢を失わないということです」
河出奈都美アナウンサー
「座右の銘を見ても、また学者としての経歴もありますし、すごくしっかりしている方だと思います。15年という在職年数からも、ある程度人気や支持はあったのかなと思いますが…」
■“地域差別”や“コシヒカリ発言”も
小野解説委員
「歯に衣着せぬ、自分の言葉で発信する知事として県民からも支持がありました。ただ、これまでたびたび不適切な発言が問題になっていました」
「今年3月には、磐田市を拠点に活動する女子サッカーチームから表敬訪問を受けた際、『磐田は文化が高い。浜松より元々高かった』と言い、地域差別ではないかと指摘されました」
「静岡県内のサッカーの強豪校に対しては、『サッカーをするために入ってきている。勉強よりもボールを蹴ることが一番重要』と話しました」
「2021年には、かつて知事が学長を務めていた静岡文化芸術大学の女子学生について『11倍の倍率を通ってくるんだから、みんなきれい』と、女性の学力と容姿を結び付けるような発言をしました」
「同じ2021年の参議院選挙の応援演説では「あちら(御殿場)はコシヒカリしかない! 飯だけ食って、それで農業だと思っている!」と声を張り上げました」
「知事は浜松出身の候補者の応援をしていて、相手候補が元御殿場市長でした。『御殿場にはコシヒカリしかない』『こちら浜松が経済を引っ張ってきた』と、御殿場を揶揄(やゆ)する発言です」
「この時は県議会で辞職勧告決議が可決された他、その後は知事の不信任案まで提出される事態になりました。こうした問題発言の裏に、どういうことがあったのか。『切り取られた発言ではないのか』と知事は釈明を続けてきた。そんな人物でもあります」
■県幹部も忠告…なぜ止められない?
鈴江アナウンサー
「失言がいくつもある一方で、功績もあった方だと思います。過去の失敗や批判から学べなかったのかなという気もします」
小野解説委員
「なぜこれほど失言が続くのか。静岡第一テレビで知事を10年取材してきている小菅達矢デスクに聞きました」
「まず話し好きで、誰かが知事を表敬訪問してもほとんど知事のペースでしゃべってしまう。そして、リップサービスしがち。誰かを持ち上げようとして他の誰かを引き合いに出すのが話のパターン。そうした中で失言につながるケースが多いということです」
「確かに“コシヒカリ発言”は浜松を持ち上げて御殿場を引き合いに出して揶揄。磐田市の魅力を語るのに浜松市を引き合いに出して揶揄しました」
桐谷キャスター
「褒める時に、他の何かを引き合いに出す必要はないですよね」
小野解説委員
「なぜ止められないのか。小菅デスクは『周りに止められる人がいない』と言います。県庁幹部も忠告していたそうです。特にここ2、3年は問題発言が相次ぎ、悪い部分が目立つようになってきました」
■リニアの着工認めず…今後どうなる?
小野解説委員
「川勝知事といえばリニア中央新幹線の静岡工区です。知事サイドが『周辺環境に影響がある』として一貫して着工を認めませんでした。このためJR東海が、品川~名古屋間の2027年の開業を断念しました。今後はどうなるか分かりません」
(2024年4月3日放送「news every.」より)
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