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客が従業員に対し、過度な要求や暴言など悪質な迷惑行為を行うカスタマーハラスメント(カスハラ)をめぐり、東京都が防止条例を制定する方針を示しました。健康被害も深刻化するカスハラをしてしまう人の年齢や職業には、ある傾向が見られました。
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https://news.ntv.co.jp/category/life/92a8bc204108468488af5500930c2485
そこで今回の#みんなのギモンでは、「カスハラ 東京都条例で防げる?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。
●年々増加 労災認定も
●“カスハラしがち” 年齢に傾向が?
■街で聞く…カスハラされた経験は?
加納美也子・日本テレビ解説委員
「客が従業員に対して、土下座で謝らせたり、暴言をはいたりするカスタマーハラスメント、いわゆるカスハラについて、東京都が防止条例を制定する方針を示しました。制定されれば全国初となります。カスハラについて街で聞きました」
飲食店アルバイト(20代)
「舌打ちをされたり、『まだかよ』みたいな。必要以上に急かしてくるお客さんがいらっしゃって、そういうのはちょっと困るというか」
別の飲食店アルバイト(20代)
「『一緒に飲もう』みたいに言われて、その後の業務に迷惑がかかっちゃうのでお断りはしているんですけど、どう対処したらいいのかなみたいな」
コンビニアルバイト(20代)
「『レジ打つのが遅いわ』とか言われたんですけど、前に並ぶお客さんの都合もあるので、私から『すいません』しか言えなくて。(カスハラ防止条例で)ちょっとでも改善されたら、ストレス社会少なくなるのかなって思います」
■UAゼンセンが調査…迷惑行為の実例
藤井貴彦アナウンサー
「ハラスメントレベルにまで引き上げられてしまっている会話がもしなされたとしたら、お客様とお店の立場は完全に崩壊していると思っていいので、毅然とした態度をもう取っていい時代なんじゃないかなと思いますね」
加納解説委員
「そうですね。それくらいカスハラは本当に深刻です。まずは、外食や流通などの労働組合が加盟する UAゼンセンが行った調査(2020年)から、客の迷惑行為の具体例を見ていきます」
「生活用品店で、レジの接客態度が悪いと呼ばれ、胸ぐらをつかまれて15メートルくらい引きずられた。二言目には『俺は人を殺したことがある』などと言い、暴力をふるってきたので警察を呼んだというケースがありました」
「百貨店では、洋服の直しで来店した人が半年たっても取りに来なかったので配送したら、『キツイ、入らない。太って着られなくなった服はいらない』と電話で怒鳴り散らし、返金を求められたことがありました」
「飲食店で、客が騒いでいてもう少し静かにするようお願いしたところ、『何? 帰れってこと? こっちは金払って来てやってる客なんだけど、お前何様だよ』と大声を上げられました。こういったことが実際に起きているんですよね」
■直近2年で「迷惑行為あった」は半数超
徳島えりかアナウンサー
「驚くようなものばかりですが、私自身、学生時代に駅のおそば屋さんでアルバイトをしていた際に、お客さんに理不尽に怒られたり、お金を投げて渡されたり、ちょっと嫌な思いをすることってあったので、こうした事例もあるだろうなと思ってしまいますね」
加納解説委員
「こうしたカスハラの被害は年々増えているといいます。この調査によると、2020年までの2年間で『客から迷惑行為があった』と答えた人は56.7%と半数を超えました。性別では男性が74.8%で、女性の約3倍でした」
■健康被害も深刻…労災認定の人数は?
加納解説委員
「こうしたカスハラで、健康被害も深刻になっています」
「厚生労働省によると、顧客や取引先から無理な注文を受けたり、クレームを受けたりしたことが原因で精神疾患による労災と認定された人は、2022年度までの10年間で89人。そのうち29人は、自殺や自殺未遂をしてしまいました。対策が急がれる社会問題です」
■年齢や職業は? “しがち”な人の傾向
加納解説委員
「ここからは“カスハラしがち”な年齢に傾向があるのか、というポイントについて見ていきます。カスハラをしたことがあるという人たちのデータがあります」
「東洋大学社会学部の桐生正幸教授の調査では、『悪質なクレームをしたことがある』と答えた人は2060人中で924人、44.9%に上ったということです」
河出奈都美アナウンサー
「これは自己申告をしているということですから、していない人を含めたらもっと多いんじゃないかなと思ってしまいますね」
加納解説委員
「そうかもしれないですよね。また、年齢や職業で傾向がありました。年齢では45~59歳。職業は経営者や役員、自営業の方が多く、年収は1000万円~2000万円が多かったということです」
「性別でも特徴があり、男性が大声で威圧的な話し方をする。女性は、一方的に話し続け謝罪を求める傾向があったということです。また、男性の場合は『上を出せ、経営者を出せ』と言って謝罪させるという人がいたそうです」
藤井アナウンサー
「(この調査で示された)職業を見てみると、なかなか部下や周りの人から『その態度はどうですかね?』とたしなめられるようなポジションにいない人なのかもしれないですね。全員がそうじゃないとは思いますが」
「自分を俯瞰で見ることを普段から自分に課しておかないと、カスハラをしている可能性もありますよね」
■起きる背景に「サービス合戦」?
加納解説委員
「では、なぜこのようなカスハラが起きてしまうのでしょうか?」
「桐生教授は、その背景について『これまで日本のビジネスは競争が激しくなるにつれ、過度なおもてなしでサービス合戦をしてきた。しかしそうした今までのビジネスモデルが、人手不足もある中、時代に合わなくなってきた』と指摘します」
徳島アナウンサー
「お客さんも、『お客さんだから』『サービスだから』と甘えてしまっている部分もあるのかなと感じます。個々人が価値観をアップデートするだけでなく、こうした条例でしっかり従業員を守ってほしいなと感じます」
■ガイドラインで明記へ…想定される例は
加納解説委員
「東京都の条例では、具体例をガイドラインで示して禁止する方針です」
「長時間にわたって従業員を拘束すること、『バカ!』『アホ!』といった侮辱的発言、ネット上に名誉を棄損する情報、またはプライバシーを侵害する情報を掲載することなどを想定しています。ただ、罰則は設けない方向だということです」
刈川くるみキャスター
「具体例が示されることで、今までカスハラを受けてもなかなか声を上げられなかった人たちが『それはカスハラです』と言いやすくなるのかなと思うと、すごく良かったなと感じます」
「一方でカスハラをする側は悪いと思っていない可能性もあるので、罰則がないというのは大丈夫かな?と少し心配です」
■カスハラをしないために意識すること
加納解説委員
「桐生教授も、東京都の防止条例制定に向けた動きについて『今後は罰則を伴う法整備が必要になってくる』と指摘します」
「そして『その前段として、カスハラについてまずは罰則のない条例を作るというのは、法整備に向かって一歩進んだと言える』と評価しています。そして、消費者側の意識を変える必要があると話します」
「『お客様は神様、という考えはもはや時代遅れだと消費者も認識すべき。対等な立場で店や企業の方に感謝の気持ちを持つことが大切』と話します」
「桐生教授の調査では、『カスハラをしてすっきりした』と回答した人はほぼいませんでした。むしろ、嫌な気持ちが続いた人が多かったそうです。つまりカスハラは、した側もされた側も、見せられた人も嫌な思いしかしないということですよね」
藤井アナウンサー
「『お客様は神様という考えは、もはや時代遅れだと認識すべき』というお話がありました。お客様が神様のような人、おおらかな心を持ったお客様であってほしいです」
「週末に都営バスの1日乗車券を買って旅をするのが楽しみなんですが、200数十円で移動させてくれるわけですから、運転手さんに食ってかかるようなことはせず、『その一言は200円のサービスを超えたハラスメントだよ』と心の中では思っています」
加納解説委員
「桐生教授は『カスハラをしないためには立ち止まって我に返る意識、カスハラをしてしまったという自覚があるなら、謝る余裕を持つようにすることが大切だ』と話していました」
(2024年2月21日放送「news every.」より)
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