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北朝鮮の金正恩総書記の妹・与正(ヨジョン)氏が、相次いで談話を発表。26日の談話は日本との交渉を拒否する強硬な内容でしたが、25日は首脳会談をちらつかせ、日本に変化を求めるものでした。約20年進展のない拉致問題に影響はあるのでしょうか。
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https://news.ntv.co.jp/category/international/406439414555479ca3557eafc8c1939e
そこで今回の#みんなのギモンでは、「与正氏の談話 思惑は?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。
●2 か月連続 日本にいらだち?
●日朝首脳会談 どうなる?
■既に駆け引きが?…談話の中身と狙い
近野宏明・日本テレビ解説委員
「北朝鮮の金正恩総書記の妹・与正氏はなぜ談話を発表したのでしょうか。25日の談話の内容について考えます」
「『最近も岸田首相は、異なるルートを通じて可能な限り早いうちに国務委員長に直接会いたいという意向を我々に伝えてきた』。国務委員長とは金総書記のことです。つまり、岸田首相が直接の首脳会談をしたいと伝えてきている、という内容です」
森圭介アナウンサー
「重要な外交交渉を一方的に談話という形で発表するのは驚いたんですけど、どういう意図があったんでしょうか?」
近野解説委員
「当然のことながら、この段階である種の駆け引きが始まっているようなものですから、北朝鮮側にとっては有利に働くと思ってやっていると考えるのが自然ですよね」
■約1か月半で改めて発表…ナゼ?
近野解説委員
「具体的にどういう意図が込められている可能性があるのか。日本に対するいらだちについて考えます」
「そもそも、与正氏は2月15日にも談話を発表しています。この時は『日本が政治的決断を下せば、岸田首相が平壌を訪問する日が来る可能性もある』という見解を示していました。1か月半ほどで、また改めて 25 日に談話を発表したのはなぜなのでしょうか」
「北朝鮮情勢に詳しい慶応義塾大学の礒﨑敦仁教授は、『2 月の談話以降、岸田政権に変化が見られないことに対して北朝鮮側が不快感を示してきている』と分析しています」
■「金総書記と会いたいのであれば…」
近野解説委員
「北朝鮮側が求める変化とは何でしょうか。25日の談話では『新たな道を開く上で重要なのは日本の政治的決断だ』『これ以上解決すべきこともない拉致問題に固執すれば、岸田首相の考えが人気集めに過ぎないという評判を避けられなくなる』としました」
「2月の談話でも25日の談話でも、同じ主張をしていました。金総書記と会いたいのであれば、これ以上、北朝鮮としては解決済みとしている拉致問題を取り上げないように。岸田首相はそうした政治的決断をすべきだと主張しています」
鈴江奈々アナウンサー
「北朝鮮の主張はそうなんでしょうが、日本としては決して譲ることができない拉致問題で、特に待っていらっしゃるご家族のことを思うと、とにかく時間だけが過ぎている今のこの状況は本当に歯がゆいですよね」
■約20年前…首脳会談で動いた歴史
近野解説委員
「この問題はずっと続いています。拉致問題が前回大きく動いたのは、20年ほど前です」
「2002年、当時の小泉純一郎首相と金正日総書記が史上初めて平壌で首脳会談を開きました。この会談で北朝鮮が初めて日本人の拉致を認めて謝罪。そして5人の拉致被害者の帰国が実現しました」
「この2年後の2004年に再び首脳会談が行われ、北朝鮮にいた拉致被害者の家族が日本に移り住むことができました。こういったニュースの時には、斎藤さんはまだ10代ですよね」
斎藤佑樹キャスター
「当時は正直、この問題はちゃんと理解はしてなかったんですけども、当時の日本にとってはとても大きな動きでしたよね」
近野解説委員
「世の中に『こういうふうに 1 つの歴史が動くんだ』というほどのインパクトを与えたニュースでした。残念ながらこの2004年を最後に、拉致問題は大きな進展が全く見られていません」
■横田早紀江さん「本音で話さないと」
近野解説委員
「拉致被害者の横田めぐみさんの母・早紀江さん(88)は 25 日の談話を受けて、『トップ同士が直接会って本音を話さないと何も動かないということが、この22年で分かっている』と話しています」
「ただ、今回の談話は拉致問題を取り上げるなとアピールしているわけですが、これについて早紀江さんは悲観していないといいます」
「北朝鮮が日本側のアプローチに全く反応すらしない時期が長く続いていたこともあり、今回のような反応は珍しいことなので、北朝鮮側が一見拉致問題を排除するとしながらも、日本と北朝鮮との間で水面下の接触が進んでいるのでは、と期待しているといいます」
■「もう本当に時間がない」…切実な願い
近野解説委員
「その上で早紀江さんは、『失敗しようとどうしようと、交渉しないことには始まらない。少しでも動いていけばと願う。もう本当に時間がないですから』と訴えています」
「帰国できていない拉致被害者の親世代で健在なのは、88歳の早紀江さんと、有本恵子さんの父で95歳の明弘さんの2人だけです」
森アナウンサー
「本当に時間がない中で、この言葉が両国のトップに届いてほしいなと願うばかりです」
■拉致被害者家族会代表「英断を期待」
近野解説委員
「拉致被害者家族会代表の横田拓也さんは、『両国が抱える人道問題の解決に向けて、金総書記の勇気ある英断を期待する。全拉致被害者の即時一括帰国の要求の水準を下げることはできない』と話しています」
河出奈都美アナウンサー
「ご家族の気持ちを考えると、一刻も早い帰国が実現したらいいなと思います。日本政府の対応はどうなっているのでしょうか」
■日本政府は…首相「トップ会談が重要」
近野解説委員
「日朝首脳会談はどうなるのか。談話を受けた 25 日の政府の反応を見てみましょう」
林官房長官
「拉致問題が既に解決されたとの主張は、全く受け入れられないと考えております」
岸田首相
「これまでも北朝鮮との間の諸懸案を解決するためには金正恩委員長とのトップ会談が重要であるということを申し上げてきました。首脳会談が実現しますかという質問ですが、これは相手のある話であります。今、何も決まっているものはありません」
近野解説委員
「水面下のことは分かりませんが、日本から何か新たな打診があったから談話が出た、あるいは談話が出たから日本が何かするといった発言はありませんでした」
「日本側としてはこれまでと同様に、首脳会談実現のために働きかけを続けていくということでした」
鈴江アナウンサー
「長年動かなかった問題を動かすというのは簡単なことではないと思いますが、もし自分の子どもや家族が拉致されて帰ってこなかったら、と想像すると居ても立っても居られません。そんな気持ちを、私たち 1 人 1 人が持つことも大事ですよね」
「改めてそういった気持ちを私たちも刻むべきだと思います。今年は各国の選挙など国際情勢が大きく動く可能性がある年とも言われています。それを横目に北朝鮮がどんなボールを投げてくるかは予断を許しません」
「日本として譲れない一線は守りながら、物事がしっかりと前に進むよう取り組んでいただきたいものです」
(2024年3月26日放送「news every.」より)
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